数十年まえからテクノロジーで自分たちの仕事が代替されてしまう!といわれてきてますが、100%なくなることはないんじゃないかと思ってます。僕は楽観視してまして、全然焦ってません。(笑)
具体的にはどの職種が人工知能(AI)に奪われるのか。
オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が2013年に「雇用の未来」という論文を発表し、世界に衝撃を与えました。その中では、10年後にコンピュータに代替されると予想される仕事が数十種類リストアップされていた「消える」とみられている職業10種です。
機械化される可能性の高い職種10種
1.電話による商品販売員
2.法的文書の調査・要約・探索に従事する者
3.裁縫師
4.標準的な数式を用いた技術的問題解決に従事する者
5.保険業者
6.時計修理師
7.貨物取扱人
8.税務申告代表者
9.写真店
10.銀行の口座開設担当者
※「雇用の未来」の付録の表から作成
消える職業の共通点
これらの仕事の共通項は「マニュアル化されている」こと。ある課題の解決について一定のプロセスがある場合、そうした課題解決はAIが得意とするところです。
1. 文系総合職 – 人間はどう働くべきか
上述したように、業務内容がマニュアル化されている仕事に関してはAIに代替される可能性が大きいと言えるとくに、上記のランキングにおいて、商品販売員や保険業者、銀行の口座開設担当などの仕事が代替されうるということは、文系出身で総合職や営業職、事務職に配属されている人には衝撃的なのではないでしょうか。
文系の職務は、AI時代にはなすすべなく失職するしかないのでしょうか?ご安心ください。そんなことはありません。生き残りのヒントは、「コミュニケーション」と「データ」です。まずコミュニケーションに関して。当然のことながら人間である顧客に対してのコミュニケーションをより得意とするのはAIより人間です。
AIが得意とするのは顧客のデータの処理でしかない。
いわば、将来の文系職はAIが「書類」を見て、人間が「顧客」を見る、という図式が予想されます。また、顧客だけでなく組織内でのコミュニケーションも当然ながら人間が行わなければなりません。裏を返せば、感情労働の側面がより強くなる、という言い方もできます。
人間にしかできないコミュニケーションスキルを鍛えることもそれはそれで難しいものです。
コミュニケーションに関しては、AIの苦手のすることとして想像がつきやすいかもしれませんが、二つ目の「データ」に関しては、あまりピンとこない方が多いかもしれません。
どうやらAIとは「ディープラーニング」という手法を使い、大量のデータから学習し、未知のことを予測するなどの課題の解決を図る装置だそうです。AIはデータからの学習がなければただの空っぽの箱であると言えます。
このAIが必要とする良質なデータを提供するのは人間の仕事です。
具体的に営業職や総合職について考えてみると、例えば「どういう顧客がすぐに契約してくれるのか」という問いや「こういった顧客は解約しやすいのではないか」などの仮説を立て、それらを代表するデータを収集し、AIに学習・検証をしてもらう、という図式です。
顧客についての仮説に関しては人間社会が絡む複雑な事象であり、いわば人間の「勘」「インスピレーション」によって思いつくところが大きいでしょう。
営業職や総合職にとって、AIは自分の直感の真偽を、データから具体的に検証してくれる心強い味方であることでしょう。
2. 製造業 – 人間はどう働くべきか
AIの話題が有名になる何年も前から「機械化失業」という言葉がささやかれていたのが製造業の分野です。人間より速く正確に、かつ疲れずに作業を進められる機械は、製造業においてしばしば脅威とみなされてきました。
しかし、書いた通り、AIはデータを与えなければただの空箱です。
最新のAIを搭載した作業用ロボットに繊細な作業を教え込むのは、熟練の人間の仕事であることでしょう。もちろん、上記の文系職同様、製造業の現場でも人間対人間のコミュニケーションは大切です。
こうした分野でも人間の仕事としてコミュニケーションは生き残ることでしょう。
3.技術職 – 人間はどう働くべきか
技術系分野では、よりクリエイティビティが求められるようになるでしょう。AIの進歩は、それまで人間には習得が困難だった技術をAIが代替するという側面も持ちます。誰にも追いつけない技術で生き残る、というのは今後ますます困難になると予想されます。
その一方で、何を作れば社会に有益か、つまり「受けるか」に関して見極める・思いつく能力はAIには到底真似できません。
クリエイティブな職に関しては人間の領分であるため、AI時代においても残る仕事となるでしょう。
HBC(Human Based Computation)とは
総じて、AIは仕事を奪うというより、道具として仕事の構造を変えるものだと考えられます。つまり、業務は変化するだけにとどまり、これまでの仕事は残り、AIはやはり人間に「使われるもの」だということです。こうした考え方はHBC(Human Based Computation)と呼ばれます。
つまり、単純作業は機械に任せ、仕事の核となる部分のみを人間が担当するという業務体系です。
これはいわば、AIの得意なことと人間の得意なことを見極めたうえでの「分担作業」だと言えます。
今後の産業において主流となるのは、この考え方なのではないでしょうね。
危惧すべきは他国の台頭?
AI社会の到来によっても仕事はなくならないことを見てきましたが、実はこの裏にはもっと危惧すべきことがあります。それは、AIを活用して生産性を上げる、他国の存在です。
たとえばアメリカのテスラモーターズ社は自動運転を研究し、日本の基幹産業である自動車産業の大きなライバルとなるはずです。中国の台頭も著しく、アリババやバイドゥといった世界的企業の研究するAIはアメリカに勝るとも劣らないと言われています。
こうした他国の産業がAIにより発展し、日本が出遅れてしまうことの方が、AI時代において残る仕事はどれかという問題よりもずっと憂慮すべきことなのではないでしょうか。
AIを利用して生産性を上げることで、他国に負けない産業を維持することが、今後の私達の仕事にかかわる喫緊の課題であると言えますね。
まとめ
仕事の自動化が急速に進んで、昔からある職業は「時代遅れ」とされてますが、20年後にも必要とされる職業はたくさんあります。
最近の研究では異論が出ており、鉱夫や漁師といった昔ながらの職業よりも、新しい技術の方が消滅の候補になると考える専門家もいるようです。
つまり、人工知能は技術開発によって生み出されたツールの一部に過ぎないってこと。しかしながら、人間が作ったツールであり、コミュニケーションとデータを読む力は今後ますます必要になってくると思ってます。