どうも、もぐらです。
タイトルの通り、『カイジ「命より重い!」お金の話』という書籍を読んだので参考になったことを書き出していきます。
と、その前に簡単な感想をいくつか紹介しておくと、本書は、
・マネーリテラシー(お金に関する総合的な知識のこと)の中でも、特にお金を“守ること”に特化した内容だった
・言い換えれば、稼ぐこと・貯めることについては書かれていない
・漫画カイジになぞらえてお金の知識を学んでいけるので、超理解しやすかった!
・完全初心者向けなのである程度お金の知識がある人には物足りない
って感じでした。
では、それを踏まえて本書説明に入っていきましょう。
内容説明
巨大企業と戦う青年を描いた大人気漫画『カイジ』に学ぶ、
激動の日本経済を生き抜く知恵本書は、経済ジャーナリストの著者が、シリーズ1900万部を突破した大人気漫画『カイジ』を、「お金の教科書」として読み解いた一冊です。
著者は、私たちに足りないのはお金を「使う知識」と「守る知識」だと言います。
本書では、この“使う”と“守る”について、この世の中を生き抜くために重要な、
それこそ「命より重い!」と言えるかもしれないお金の知識を網羅しました。(Amazonより引用)
カイジを読んだことがある人ならご存知の通り、カイジとはギャンブル漫画であり、世の中の仕組みやお金の本質的なテーマが間接的に描かれている資本主義社会のバイブルみたいな作品です。
そしてそんなカイジをより掘り下げて体系的にまとめたのが、『カイジ「命より重い」お金の話』。
本書はカイジの名シーンを紐解きつつ、と同時にお金の知識を学べるお得な内容になっています。
ちなみに、「金は命より重い!」というタイトルは、カイジに登場する利根川という敵キャラの台詞からきています。
この利根川という男はなんというか色んな魅力に溢れているキャラなので、カイジを読む機会があればぜひ注目していただきたいですね(笑)
脱線しました。話を戻しましょう。
本書のあらましをざっとまとめてみると、以下の通り。
・マネーリテラシ―とその重要性について
・借金について
・利子について
・投資について
・保険について
・お金より大事なことについて
これだけ見ると堅苦しい印象を受けますが、内容はもっとずっと平易で、基本的なことしか書かれていません。
書籍の中ではかなり読みやすい部類に入ると思います。
参考になった箇所まとめ
管理人が「ここは参考になった!」と感じた箇所をいくつか紹介します。
冒頭のクイズ
ページを捲るといきなりクイズが出題されます。
そのクイズとは、
【問題】
あなたは、銀行から年率12%で100万円を借りました。銀行から「返済が大変でしょうから、返済は月々1万円でいいですよ」と言われます。毎月の返済額が減るのは、あなたにとっても嬉しいことであり、さっそくその条件で契約しました。
さて、あなたが借金を返済し終わるのは、何年後のことでしょうか?
※なお、金利は「単利」とする
【選択肢】
A 5年
B 8.3年
C 10年
というもの。
皆さんもぜひこの問題に答えてみてください。
・・・さて、答えは決まりましたか?
では正解を発表します。
正解はズバリBの8.3年でした。
月々1万円を8.3年間返済し続けると、借金はなくなります。
・・・ごめんなさい、嘘です(笑)
本当はAでもBでもCでもなく、返済は永遠に終わらないが正しい答え。
なぜそうなるかと言えば、
年率12%で100万円を借りると1年間に12万円の利息が発生するので、それを毎月1万円ずつ返していっても元本の100万円は減らないから。
毎月1万円返すだけでは、一生借金はなくなりません。
「え?そんな答え選択肢になかったじゃん」とツッコミたくなるところではありますが、選択肢の中に答えがあるなんて誰も言ってはいません。
とどのつまり、そう思い込んでしまった方が悪い。
明らかにズルいですが、私はむしろそこにリアリティを感じました。
なぜならカイジの世界だけでなく、現実を見渡してみてもこのような巧妙な罠は確かに存在しているから。
例えば、今パッと思い浮かんだのは賃貸契約書。
賃貸物件を借りた人ならお分かりでしょうが、賃貸契約書は、よく読めば貸主に都合のいいことばかり書かれていることに気づきます。
反対に都合の悪いところは分かりづらくしていて、ロクに調べもしない人間(借主)が損をしやすい仕組みになっています。
このような不自由な選択肢というのは至るところにあって、ズルいと言ったところで何も始まりません。
私たちが出来るのは、嘘を見抜く目を養うことです。
そういう意味では、このクイズはそんな社会の理不尽さを見抜けるかどうかを確かめるいい試金石になるなと思いましたね。
豪遊!浪費!人はなぜお金を使いすぎてしまうのか?
人はなぜお金を使いすぎてしまうのかを経済学の視点から解説したパートです。
浪費や豪遊をしてしまう人の心理はいくつかあるそうで、以下簡単に紹介しておきましょう。
顕示欲
他人からよく思われたい、他人に見せびらかしたいという欲求。
ブランド品を買ったり、高級マンションに住む人などが分かりやすい例。
ご褒美思考
これだけ頑張ったのだから自分にご褒美をあげてもいいよねって心理です。
地下チンチロ編でカイジもやってましたよね。
限界効用逓減(げんかいこうようていげん)の法則
限界効用とは、そのときそのときに感じる満足感のこと。逓減とは、だんだん減っていくという意味です。
つまり、満足感はだんだん減っていくというのがこの法則です。
では、なぜこの法則が作用すると浪費してしまうのか?
例えばこういこと。
カイジは地下労働施設でビールを1本貰いました。過酷な労働を終えて1ヶ月ぶりに飲むビールは悪魔的にうまかった。この悪魔的うまさに負け、2本、3本と手を出し、結局カイジはビールを4本買ってしまう。
ここで問題となるのは、最後に飲んだ4本目のビールも悪魔的にうまかったか?ということ。
おそらくそうではないでしょう。
2本目はせいぜい小悪魔的なうまさで、3本目は悪人的、4本目に至ってはちょいワルくらいになる。
このようにカイジがビールを飲むことで得られる満足感はだんだん下がります。
要するに人は刺激に慣れると満足度が下がるので、さらに満足したいと欲望をどんどんエスカレートさせ、自分の基準を上げていく。
これが浪費をやめられなくなるからくりであり、この法則の怖いところです。
1円の価値を見くびるな!
本書ではこれらの心理をたった一言で的確に表現しています。
それは、お金を使えば使うほど1円が軽くなるということ。
浪費を繰り返す人は、1円の重さ(価値)が極端に軽い(低い)のです。
1円当たりの価値を軽く捉えているからこそ、バンバンお金を使えます。
反対に倹約家という人種は、1円を極端に重く見積もっている人たちであると言えるでしょう。1円当たりの価値を重くとらえているからこそ、無駄なものを買いません。
浪費家は1円をとことん軽くした結果、お金を使うことに無頓着になり、浪費が加速する。
これが浪費家が生まれるメカニズムであり、まるで諺の“1円を笑うものは1円に泣く”を地で行くかのような状態です。
こう見ると1円はもっと大切に扱うべきですね。ほんと。
お金で“幸せ”は買えない。でも、お金で“自由”は手に入る
ちょっと長いですがここは本書の内容をそのまま抜粋してみます。
たしかに、お金を持っていても幸せになれるとは限らない、お金を追い求めたがゆえに不幸になる、という指摘はもっともですし、私自身もそう思っています。
しかし同時に、「お金を持っていれば、身に降りかかる“不幸”をある程度回避できる」というのも事実です。そして、お金を持っていれば“自由”を買えるのです。
カイジが地下の強制労働施設に送られたのはなぜか?
お金がなかったからです。
カイジがいつも生死を賭けた勝負をしなければいけないのはなぜか?
お金がなかったからです。
ロシアの小説家、ドストエフスキーは言いました。
「金は、鋳造された自由である」と。
お金があれば、カイジはいつでも自由の身になれたはずなのです。お金を持っていても、それだけで幸せになれないとは思いますが、だからと言ってお金なんていらない、お金に無頓着でいいということにはなりません。
お金を持っていれば自由が得られる、お金を持っていることで、防げる“不幸”もあるのです。
この考え方には1000%同意。
拝金主義になれってことではないですが、必要以上にお金を遠ざけたり考えないようにするのは、それはそれで不自由な生き方だと思います。
お金は身の回りに当たり前に存在する便利なツールですから、最低限の知識は持っておいて損はないはずです。
どんな人におすすめ?
本書は下記の特徴に当てはまる人に読んで欲しい1冊。
・マネー本を普段あまり読まない
・お金の基本的な守り方を知りたい
・経済学的に咀嚼されたカイジの世界を覗いてみたい
言ってしまえば本作は、人気漫画カイジに便乗して書かれたお金の本なのですが、カイジになぞらえていることで非常に理解しやすく、お金の知識がスッと頭に入ってくるのもまた事実。
「カイジは知らないけどお金について学びたい人」には、読めばお金の知識を学べつつきっとカイジの面白さが伝わるでしょうし、
反対に「カイジは好きだけどお金について詳しくない人」にとってはカイジの世界を間に挟むことで理解が容易くなり、マネーリテラシーを高めていくことが出来る。
カイジを知らない人も知っている人も両方楽しめる1冊だと思います。
個人的にはこういう系の本をよく読んでいることもあり、正直やや物足りなさを覚えましたが、上記の特徴を持つ人にはおすすめです!