行動経済学の著「ファスト&スロー」は、1週間かけて読んだだけの価値があった。

行動経済学の著「ファスト&スロー」は、1週間かけて読んだだけの価値があった。, アンダーグラウンドより
書籍
最近マーケティングや行動経済学、引いては認知心理学にハマっているもぐらです。 自分事で恐縮ですが、なんでしょう、やっぱり何かを探求しているときが1番楽しくてワクワクしますね。

もちろん形にすることや地に足をつけることも大事なんですが、自分は何かに夢中になって深堀りしている瞬間がたまらなく好きです。

と、冒頭から自分語りが過ぎるのでさっそく本題に入りますけど(笑)、今回は最近の自分の関心分野である行動経済学の中で、古くから語り継がれている名著「ファスト&スロー」を紹介していきたいと思います。

ちなみにそんな本書、東大生の間で最も読まれた本(一定期間内)として有名だったりします。

そもそも行動経済学って?

行動経済学の著「ファスト&スロー」は、1週間かけて読んだだけの価値があった。, アンダーグラウンドより

行動経済学の正確な発祥は分かり兼ねますが、その名が世間に広まったのは2002年と比較的最近のこと。

「人間は必ずしも合理的な行動をしない」ということを起点に、人々の経済活動や市場原理を心理的・感情的に解明しようとする学問が行動経済学です。

行動経済学という名前こそ堅苦しいですが、心理学とも折り重なった部分が多々あり、消費者が犯しがちな興味深いサンプルも数多く登場するので、結構多くの人に役に立つんじゃないかなと思ってます。

興味深いもので言うと例えば、フレーミング効果というものがある。

これは簡単にいってしまえば「物は言いよう」というやつで、それが例え同じ内容のものだったとしても、表現を変えれば相手の印象をも変えることが出来る効果のことを言います。

「手術の成功確率は90%です」と告げられるのと「100人中10人が失敗する手術です」と告げられるのでは、言っている内容は同じにも関わらず、患者の印象は大きく変わるでしょうし、その結果行動まで変わってしまう可能性すらあります。

こんな感じで、人間が感情の生き物でありなおかつそれが経済にも影響していると証明する学問こそ行動経済学なのです。

では「ファスト&スロー」って?

行動経済学の著「ファスト&スロー」は、1週間かけて読んだだけの価値があった。, アンダーグラウンドより

本書は上記の説明よりさらに突っ込んだ内容の書籍。

ファストとは人間の速い思考や判断のことで、自分の解釈が間違えていなければ直感のことをそう呼びます。

もっと言えば、

複雑で面倒くさい事柄漠然とし過ぎていてパッとは理解できない事象エネルギーが莫大にかかる処理

などに対して、簡略化させたり置き換えを行ったりして、ショートカットを行う役割を持った回路のことをファストと言います。

要は、生まれ持った速い回路ですね。

で、その逆がスローと呼ばれるもの。

こちらはファストとは違い、直感的ではなく論理的に思考する回路となってます。ファストより時間がかかり消耗も激しいため、基本的には怠け者。

また意識的に用いる必要があり苦手にしている人も多いですが、エラーを起こしにくいというメリットもあります。

そんなファスト&スローという2つの回路を人間は持っており、その2つがどういう状況で役に立つのか、またそのメカニズムはどうなっているのかを解明したのが本書というわけです。

そしてさらに嬉しいのは本書が、「ファストがどういう状況で誤作動を起こしやすいのか」を懇切丁寧に説明してくれている点。

これが分かれば不合理な判断やアホな行動を減らすことが出来、賢い選択を取ることが可能になるので、知っておいて損はないですよね。

細かい解釈はもしかしたら多少違っているかもしれませんが、大体の内容はこんな感じでした。

読了までに1週間かかったよ

こんな風に紹介するくらいなんで自分もこの本を読んだわけですが、実はこれを読み終わるまでに1週間くらいかかりました。

うん、めっちゃ読みづらい(笑)

前提知識の有無や読解力にもよるけど、多分普通の人が何の気なしに読んだら挫折するか、自分と同じように読み込むまでにかなり時間がかかると思います。

レビューでも「読みづらかった」って声をチラホラ見かけましたし。

翻訳があれな気がしないでもないですが、とにかくその辺はある程度の覚悟を持って読み始められることを強く推奨しておきます。

とはいえ読んで良かった

一筋縄では読み切れない本書ですが、良薬は口に苦しよろしく、大体にして良書は読みづらいというのが常です。逆に読みやすいと記憶に残りませんからね。

特に本書は人間の特性について深く理解できますし、意識的に取り入れればエラーを減らせるというのも嬉しい。

というわけなので「ファスト&スロー」手に取ってみる価値が十分にある1冊だと思いますよ。

行動経済学に興味のあるなしに関わらず、人間理解を深めたい人はぜひ。というわけで終わり。

ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

行動経済学の著「ファスト&スロー」は、1週間かけて読んだだけの価値があった。, アンダーグラウンドより 行動経済学の著「ファスト&スロー」は、1週間かけて読んだだけの価値があった。, アンダーグラウンドより

  • 作者: ダニエル・カーネマン,村井章子
  • 出版社/メーカー: 早川書房

ちなみに、それでいうとこちらの本も苦くておすすめ(笑)

underground-mogura.com

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