もぐらです。
今回は、最終シーズンが海外のとある評論サイトにて、100点満点中99点という記録的数字を叩き出してギネスに載った伝説のドラマ、ブレイキングバッドについてあれやこれや書いてこうと思います。
ちなみにそんな本作、ギネスに記載されたのはシリーズ通してシーズン5だけ。この作品は作品全体が評価されたってわけじゃなく、それまでのシーズンはギネス記録とは直接関係がありません。
たしかに個人的にも、起承転結でいうところの結にあたるS5は文句の付け所が見当たらないほどきれいに物語が収束されてて素晴らしいなと思ったものの、承・転にあたるS3,4辺りなんか結構観てて退屈を覚えましたね。
冗長ってか、似たような展開ばかり続いて毎話観るごとに億劫になって仕方がなかった。無駄なシーンでないことは分かるけど。
とまぁそんな話はあとでじっくりやるとして、前置きが長くなりました。
それではさっそく本題に移りましょう!
※物語の核心に迫るようなネタバレを含んでおります
ブレイキングバッドという作品
ブレイキングバッドのストーリーは単純で、
ある日、真面目だけが取り柄で善良な化学教師であるウォルター・ホワイトは自身がステージ3の肺がんであることを告げられ、「やべえ俺もう終わりかも・・・」と人生の岐路に立たされた結果、死んでしまう前に家族にまとまった資産を残すことを決意。
そして、死を強烈に意識した彼が金儲けの手段として選んだのは、ブルー・メスという麻薬の製造でした。真面目だけが取り柄の化学教師が、科学者としての正確な技術と優秀な知能を武器に、善良な市民からの脱却をダーティに描いたドラマ。それがブレイキングバッドという作品です。
と言う感じ。
あとつけ足しておくとブレイキングバッドとは規範からの逸脱だとか、道を踏み外すとかって意味があるそうですよ。参考までに。
主観混じりで紹介する登場人物たち
本作に登場するキャラは全員クセが強くて厄介なやつらばかりなんですが、その中でもより強烈かつ個人的に好きな主要キャラのみ簡単に紹介していきます。
好きなキャラに関してはだいぶ贔屓目に紹介してる。悪しからず<(_ _)>
ウォルター・ホワイト
本作の主役。物語開始時50歳のおっちゃん。
科学的な知識を豊富に有し、麻薬製造にそれを活かします。
物語開始当初は無力の象徴である羊みたいな印象を視聴者に与えるものの、次々と悪事に手を染めていくうちにその純真でいてモフモフとした毛皮は見事に剥がれ落ち、狡猾な狼の姿が見え隠れしていく。
そのあまりの、まるで別人にでもなってしまったかのような変貌ぶりは本作の見所の1つであり、あとになってS1の初めとS5の終わりを見比べてみると、ウォルターの顔つきや性格の違いに物凄いギャップを感じてしまうこと間違いなし。
けれどウォルターにとっては狼こそが本来の自分であって、羊はまさに被り物だったという皮肉。
「いままで無理やり羊の皮をかぶり続けてきたんだろうな」と何となく感慨深くなってしまいます。
そんなウォルターですが、全編通して自分は嫌いじゃなかったです。
が、めちゃくちゃクズ人格であることは認めざるを得ない。まぁ彼を表すと、
自己正当化+自尊心の肥大化+極悪非道=彼
という方程式が成り立つくらい、最初と最後以外良いところが1つもなかったですからね。
でも個人的にはスカイラーのように最後の最後まで嫌いにはなれなかったかな。てか嫌いになれないどころか、所々応援してましたね。「捕まるなよ」って。
ジェシー
ウォルターの生徒でありながらビジネス上のパートナー。麻薬中毒のジャンキー。
彼はブレイキングバッドにおける唯一の良心ゆえに、作品外での人気も抜群に高いです。
麻薬に溺れる自堕落な若者ではあるものの、仲間想い、他人に対して寛容、倫理に反することを嫌う、と意外にいいやつ。
特に本作に登場するキャラは揃いもそろってダメ人間(倫理観がぶっ壊れてるやつばかり)しかいないので、その対比で彼の人柄の良さが何倍にもなって伝わってきました。だから彼が好きという人の気持ちもよく分かります。
そんなジェシーですが、個人的に好きだったのがラストシーン。
とりあえずウォルターに関しては正直どう転んでもバッドエンドにしかならないだろうなと予想してましたけど、ジェシーに関してはいいやつなんでラストどうにかいい方に転んで欲しいなと心から望んでました。
結果ああいう結末になって個人的にはほんと良かったなと思います。
まぁもしあれで死んでたら米国ファンはブチギレて抗議とかしてたと思う(笑)
何はともあれジェシーはブレイキングバッドの中でもダントツで人気の高いキャラですね。
スカイラー
ウォルターの妻で2児の母。
ブレイキングバッドはウォルターとジェシーの物語みたいなもんなので、正直彼女について書くことはあんまりないです。
聞くところによるとアメリカ本国ではスカイラーが嫌われ過ぎて、演じた女優さんにまで被害(殺害予告等)が及んだそうですが、そんな嫌な奴だったっけ?
確かにスカイら―はウォルターに中途半端に協力したり反発したり、妹やハンクに中途半端に助けを求めたりと、行動のすべてがどっちつかずでした。
いつまで経っても自らの立場を表明せず、日和見的な言動が目立った。
けど、完全に彼女はウォルターの被害者だったし、1番子供のことを考えていたのも彼女だったりします。
だから自分的には嫌いというよりむしろ同情すべき人物であるように感じました。
たぶん胸の開いた服を着てたのとかがあざとくて嫌だったのかも。知らんけど。
ハンク
DEA麻薬取締捜査官。スカイラーの妹であるマリーと夫婦関係にあり、ウォルターの義理の弟にあたります。
快活で熱血な印象を周囲に与える人物で、本作における影の主人公的な役割を担っており、ウォルターと敵対関係&兄弟関係という複雑なポジションにいます。
仕事では麻薬組織を追い込むその洞察力がもはや神がかっているほどに鋭く、標的を定めたら逮捕に導くまで決してあきらめない仕事人。
そんなハンクはですねぇ、言うまでもなく物語において非常に重要な役割を持つ人物なんですよね。
ウォルターと複雑な関係性があるって部分ではメインキャラのジェシーと似てて、ウォルターとジェシーは先生と生徒でありながらお互いなんだかんだ家族ほどの絆を感じているビジネスパートナーという関係(ウォルター曰くジェシーは甥みたいな存在)。
対するハンクは前述したとおりの立ち位置。バレたら関係も終わりだけど、バレるまでは関係を続けなくてはいけない。
そのウォルターとハンクの掛け合いは緊張感やら兄弟愛やらで溢れ、物語を一層面白くしてくれています。
とにかくハンクはジェシー同様、物語における非常に重要なピースを握っている人物であることは間違いないでしょうね。
ここからは自分が好きって理由だけでキャラを紹介します。特に重要とか目が離せないとかじゃないので読み飛ばしてもらって構いません。
マイク
マイクはガスという本作史上最も慎重かつ厄介なマフィアのボスの側近を務める何でも屋。
彼を一言で言うとマイペースな必殺仕事人って感じ。殺すって決めたら必ず実行する。
それだけの腕と経験、クレバーな頭脳を持ち合わせていて、無駄口を嫌い掴みどころがない。まるで「沈黙は金なり」を地で行くような人物。
ただし、行動はおっとりしているようにもどこか飄々としているようにも見えます。年齢はおそらくウォルターより上で孫娘をかなり溺愛している好々爺な一面も。
自分はマイクみたいなキャラに弱いんですよねぇ。自由に生きる1匹狼タイプと言うのか。
それでいうとマイクに似てるキャラにはゲームオブスローンズのサー・ブロンとか紅の豚のポルコとかがいて。
ああいう何にも縛られず物語を自由に駆け回るキャラにはほんとすこぶる弱い。無条件で好きになる。
作中では特にジェシーとの掛け合いが好きでした。
グッドマン
悪徳弁護士。口が達者で頭の回転も速いけど、権力にはすこぶる弱い。
ジェシーがブレイキングバッド唯一の良心だとするなら、グッドマンはブレイキングバッド唯一のおちゃらけキャラと言ったところでしょうか。
そんなグッドマンですが彼もいい味出してますね。
間違いなく賢い人間なのに軽口をたたくギそのャップが観てて痛快。彼が出演しているシーンだけなんとなく、場面が華やいでいるような気さえします。
ダーティなシーンがほとんどなブレイキングバッドにおいて彼の存在は非常に印象に残りました。
ちなみに、本作のスピンオフドラマ「ベターコールソウル」の主役は彼が務めています。
ジェーン
ジェシーが借りた賃貸物件のオーナーの娘。一時期ジェシーとは住居が隣同士で恋人?関係にあります。
※以下モロネタバレになりますが、、、
彼女の最期のシーンはかなり衝撃的でしたよね。
中毒でアレルギー的な発作を起こして吐いたやつ。自業自得な部分も大いにありますけど、個人的に好きなキャラだっただけにあれは結構ショックだったな。
そんな彼女を語るのに外せないのは、何といってもあの美貌と存在感。顔が良いのは言うまでもなく誰もが認める所だと思いますが、妖艶な雰囲気を纏いつつもどこかあか抜けない感じが残るあの独特な存在感も彼女には備わってて、控えめに言って最高。
もう少し彼女の活躍を見てたかったなというのが正直な感想です。
シーズンごとにササっと振り返るブレイキングバッド(感想)
シーズン1
化学教師が麻薬製造の道に足を踏み入れた記念すべきシーズンですね。物語の始まりから手に汗握るシーンの連続でなかなか面白いシーズンだった気がします。
またS1はウォルターが癌を告知されたり、ウォルターとジェシーがタッグを組んだり、組んだかと思うと2人で殺人を犯したりと、シリーズ通して重要となるシーンが意外と多い。
最終シーズンに次いで面白かったシーズンです。
シーズン2
S2は正直あまり記憶に残ってません。
トゥコやグッドマンが初めて登場したシーズンだったものの、パッとした事件や目立った動きは特になかったように思え、ほとんど内容を覚えてない。
強いて言えば、ウォルターとジェシーが荒野で立ち往生するって話だけは強烈に覚えます。
ついでにウォルターが家族のため、家族のためって言ってたのもね。
シーズン3
S3もS2同様、強烈なキャラクター達(ガスとか)の登場は印象にあるんですけど何分ストーリーがずっと麻薬製造のことばかりで、同じような展開が繰り返されていたため、全体的な印象は薄くこの辺は眠くなって所々飛ばしてました。
話数も長く展開もかなりスローでしたし、急激な展開は望めないシーズンだと思います。
シーズン4
最終話あたりだったか。
ウォルターがS3から苦しめられていた最大の強敵であるガスがウォルターの策略によってやられたのは。
このシーズンも序盤、中盤あたりまではS3の流れを汲んで進行してましたが、ラストらへんから急激に面白くなりました。
というのも作中最大最強の敵で、こんなやつ倒せないだろ的な空気のあったガスを、ウィルターが持ち前の頭脳と科学の知識を使って巧妙に打ち倒しちゃうんですよ。あれは爽快だった。
けど、驚くのはそれだけじゃなくて最後の描写。詳しいことは書きませんけど、S4とりわけオーラス回は2つの意味で驚きました。
このシーズンは前シーズンまでの退屈さを一気に吹き飛ばしてくれるものだと思います。
シーズン5
ギネスにも載ったラストシーズン。
これまでの伏線をすべて回収し、もう何も残すものはないだろうと言わんばかりのしめくくりでした。有終の美を飾るってやつ。
また、このシーズンに至っては全話目が離せないくらい面白いです。もしS3やS4で観るのをやめてしまった方がいるとしたら、何とかここまでは観てほしい。
その他の感想
細かいメタファーと伏線に驚かされる
本作は視聴者に気付かれるか気付かれないかのレベルでメタファーって言うのかな、メタ的な相互に作用したシーンが多くあります。
今例がちょっとパッと出てきませんがこのシーンとあのシーンってここの構成が同じだよね、みたいな仕掛けが意図して表現されている。
また、それと同様に後々明かされる伏線も多く仕掛けられていたりも。そういった細かいところにこだわって作られている作品なのは間違いないため、ファンの間でも何回も見返して楽しむ、という人も多いのでしょう。
自分はそういうのを探すのが面倒くさいタイプなのでここでは参考例とか全然出せませんが(笑)
いや、いま1つ思い出しました。
たしか本作におけるウォルターのイメージカラーって緑なんですよ。でジェシーのイメージカラーはピンク。
そこで緑とピンクの関係を見てみると、色相環でいうところの補色の関係にあたる。補色とは、お互いがお互いを引き立てあうベストな関係であり真反対に位置する色の組み合わせのこと。
本作を見てからこの意味を知ると、まさにあのコンビはこんな感じのコンビだったよなって気がしますね。メタファーの一例です。
本作のテーマについて考察してみた
本作のテーマって結局なんだったのだろう?と観終わってからずっと考えてます。
家族か自分のエゴか?善か悪か?愛かお金か?どれでもあるし、どれもピンとこない。
結局1番伝えたかったテーマは何かと幾度も考えましたが、本作の場合、どれが1番に当てはまるテーマとかじゃなくて、複数のテーマが「○○と○○」という風に対比的に交差して、折り重なって、ごちゃ混ぜになって描かれているのかなと思ったり。
ウォルターとジェシーは教師と生徒であり、憎みながらも尊重しあえるパートナー。ウォルターとハンクは敵対関係にありながら兄と弟。みたいに。
そもそもブレイキングバッドというタイトル自体がそんな感じの意味を持ってるし。
結局答えは分からないままですが、もしかすると、人生と同じように初めから答えなんて用意されてなかったのかもしれません。
どっちが正しくてどっちが間違っているかなんて誰にも分からないし。だから、それが本当に描きたかったテーマだったりするのかもしれませんね。ウォルターも「物事には常に2つの面がある」って作中で言ってましたから。
なんてことはない。適当です。本当はよくわかってません(笑)
まとめ
ブレイキングバッドのように面白い作品だと、感想を書く分にも勝手に筆が進んでくれるからありがたい(逆につまらないと書くことないんでw)。
気付けばトータル6000字超えのとんでもなく長い記事を書いてしまいました(-_-;)
ここまで離脱せずについてきれくれた方が何人残っているかは分かりませんが、もし最後まで目を通していただけたのなら感謝です。
とりあえず他人と何かを共感しあいたいという願望が希薄な自分ですら、誰かにここまでおすすめしたくなるブレイキングバッドという名作。
観て損はないですから、興味のある方や未視聴の方はぜひどうぞ。
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- 発売日: 2017/11/08
~蛇足~
言い忘れてましたが本作はこれまた自分がドハマりした海外ドラマ「ゲームオブスローンズ」の監督も絶賛してたりします。
どちらの作品も好きだという人はなんとなく嬉しいエピソードですよね。
ちなみに、ゲームオブスローンズの面白さはこちらにまとめています。こちらはこちらで徹夜必至の超大作。
初見の人が心底羨ましい。