「人を動かす新たな3原則」には、現代社会で生き抜くために必要な知識が詰まっていた

「人を動かす新たな3原則」には、現代社会で生き抜くために必要な知識が詰まっていた, アンダーグラウンドより
書籍
人を動かす、新たな3原則 売らないセールスで、誰もが成功する!参考になる部分が多い良書でした。

どうも、もぐらです。

デール・カーネギーの「人を動かす3原則」をご存知の方は多いと思いますが、これからの時代に適合した人を動かす原則を知りたい方にはこちらの本がおすすめです。

参考になる部分が多い良書でした。

とはいえ、「時間が無くて読む暇がない」という方もいらっしゃるでしょうから今回は本書の大切な箇所を抜粋して紹介していくことにします。

人を動かす新たな3原則(売らないセールスで、誰もが成功する!)

本書のテーマはセールスだ。だが、あなたがこれまでに読んだ(あるいは無視した)どんなセールス本とも異なる。それは、自動車の販売でもミーティングでアイデアを売り込むのでも、あらゆる側面において売るという行為が、過去一〇〇年間に経験した変化よりも、この一〇年間に経験した変化のほうが大きいからである。売るということに関ししてわたしたちが抱く認識のほとんどは、崩れかけた前提のうえに築かれている。(Amazon)

読んで印象的だったのは、本書が今なおセールスマンに支持されている名著、デール・カーネギーの「人を動かす」に対するアンチテーゼだということ。

僕の拡大解釈も含みますが、著者は「人を動かす」に代表される今までのセールスの手法はもう古いという立場を取っていて、そこが非常に興味深いなと思いました。まぁタイトルがそれを完全に補強してますしね。

それに今は変化の速い時代ですから、今までの技術が今なおもしくはこれから通用し続けるとは考えにくい。そういう意味でも本書にかかれていることは納得の内容でしたし、興味深かったです。

ちなみに、今までのセールスの手法を簡単に言い表した言葉にABCというのがあって、これはAlways Be Closing(必ずまとめろ契約を)の頭文字を取ってそう呼ばれています。

要は契約はまとめたもん勝ちという考え方が凝縮された言葉ですよね。確かにセールスマンといえば強引で狡猾という印象がありますし、この思想に沿ってセールステクニックを磨いてきた営業の方も多いと思います。

ただ今まではそれで通用しましたが、これからはそれでは通用しない。

では、これからの時代に必須となるABCは何なのか?

それは下記で。

新たな3原則

というわけで新たな3原則を紹介。この3つはこれからのセールスで必要な能力だと筆者は言います。

1、同調(Attunement)

まず一つ目は同調する力。

ただ同調する力といっても分かりにくいと思ったので、よくお世話になっているWikipediaで調べてみました。

同調(どうちょう)とは、調子を同じくする、という意で、英単語の訳語としては異なるいくつかの英単語の訳語に使われるため、それぞれ別の意味がある。(wikipedia)

本書によれば、カメレオンのように顧客の心理を理解することを同調と言っています。ただそれでもちょっとわかりにくいので、本書の言葉を引用しながら解説。

力は、適切なダイヤル調節を妨げて、受信するシグナルを攪乱させ、明快なメッセージを歪め、かすかなメッセージをとらえづらくする。(p.85)

同調とは真逆に位置する(押し売りとか自信満々の売込みとか)の欠点を説明した部分。これからは力はさほど必要ではないらしい。

自分が相手よりも低い立場にいると想定して、人と向かい合う。他者の視点をもっと正確に理解できるようになり、他者を動かすことにも資するようになる。けれども、誤解してはいけない。他人を動かす能力とは、お人よしになることや、聖人級の無私の精神を示すことではない。(p.86)

かといって、お人よしや聖人君子になる必要もない。

トップのセールスパーソンは心の知能指数(EQ)が高いが、感情に流されたりはしないという。~~「人と結びつきをもつためには、何とかして調子を合わせる必要があります。相手がおばあちゃんであっても、ほやほやのMBAホルダーであっても」~~「奇妙に思われるかもしれませんが、わたしはこれをカメレオン能力と呼んでいます」(p.93)

外向的な人が一流のセールスマンかというとそうではなく、かといって内向的な人も違うらしい。

行きすぎた自己主張と熱意のせいで、顧客に頻繁に接触を図ることだった。言い換えれば、外向的な人は、自分で自分の足を引っ張る傾向がある。自分が話しているばかりで相手の話を聞かないので、他人の視点で理解する力が鈍る。~~内向的な人には、外向的な人とは反対の、このタイプ特有の課題がある。内気すぎて物事に着手できず、臆病すぎて物事をまとめられないのだ(p.98)

この両端のタイプは、中央のタイプを見習うとよいだろう。内向的な人は「検査向き」で、外向的な人は「対応向き」だという人もいる。通常のセールスでも売らない売込みでも、検査と対応の微妙なバランスが求められるものだ。両向的な人はそのバランスを見つけられる。口を開くべきタイミングとつむぐタイミングを心得ている。幅広い守備範囲のおかげで、多種多様な人とも変化に富んだ状況とも調和を図ることができる。両向型がほかのタイプよりも人を動かす力があるのは、もっとも同調力があるからだ(.98)

ここまでをまとめるとこれから求められる人材は、顧客の立場に立つことが出来、顧客に調子を合わせ、内向・外向のバランスが取れた人となるでしょう。

というように、同調力がどういった能力なのか何となく理解できたと思います。ではそもそも今の時代になぜ同調力(ほかの2つも含め)が必要なのかって話ですけど、それはこれからは売らないセールスが主流になってくる可能性があるから。

売らないセールスとは、従来の押し売りまがいのセールスではなく人に寄り添うように相手の立場に立ってモノを売る姿勢のこと。

これからは売り手と買い手の間の絶対的な力の差がどんどん縮まってくる(商品の良し悪しがレビューやブログを見ればすぐわかるため。買い手が賢くなってきたとも言える)ので、押し売りまがいのことをしても意味がないどころか、むしろ逆効果になってしまいます。

仮に押し売りされて嫌な思いをしたら皆さんもネットにバンバン悪評を書き込むでしょ?そういうことw

といった理由から客の立場に立って物を売る能力、つまり同調力が必要になるわけですね。

ちなみにこの項で僕が面白いと思ったのは、Amazonの話。

みんなが大好きなAmazonでは客の立場に立つことを忘れないように、重要なミーティングの際には誰も座らない椅子を一脚置くそう。

その部屋で最も重要な人物が誰なのかを出席者に思い起こさせるために。それが顧客用の椅子というわけで。そして、そのおかげで出席者は重要な存在の視点を持てるらしいですよ。

2、浮揚力(Buoyancy)

浮揚力は、ポジティブとネガティブの比率のことを本書では指しています。

このポジティブとネガティブのバランスをある比率にしてやることで、まるで当人が浮揚したような状態になり、人生の幸福度は上がって目標達成がしやすくなるのです。

その黄金比は、ポジティブなことを考える割合が3の時、ネガティブなことを考える割合が1である場合。

つまり、ポジティブ:ネガティブ=3:1の時にすべてがうまく回り出す状態になる。逆に片方の比率が極端に高い場合は非生産的になってしまいます。

比率が11対1に達すると、ポジティブな感情は有益どころか有害な影響を及ぼすようになった。ポジティブとネガティブの比率がそれ以上になると、人生は底抜けの楽天家による無知の祭典と化し、自己欺瞞が自己鍛錬を押さえ込むようになる。多少のネガティビティは、必要不可欠である。それなしでは、「ふるまいのパターンは硬直化する」。ネガティブな感情は、自分の行動に対するフィードバックや、機能することと機能しないことに関する情報、向上する術を教えてくれるのだ。(p.123)

ポジティブ過ぎてもネガティブ過ぎても上手くいかないということですね。つまり、ポジティブ過ぎて地に足がつかずフワフワと空を飛ぶ楽天家でもなく、ネガティブ過ぎて地に足がめり込んでいる悲観主義者でもない。

ちょうど身軽で浮揚したかのような比率がベストであり、人を動かす力になるということです。

健全なポジティビティ比率を、フレドリクソンは、矛盾する二つの力、つまり浮力と重力の調和とみなす。「浮力は、人を高く押し上げる目に見えない力で、重力はこれと反対に作用し、地上に引きつける力だ。抑制のない軽さは、浮ついた、地に足のつかない、非現実的な状態にする。抑制のない重厚さは、度重なる苦難に倒れて立ち上がれなくする」と記した。「それでも、この二つが適切に組み合わさると、二つの相反する力により、沈まずに浮揚したままでいられる」(p.124)

3、明確性(Clarity)

明確性とは、見えていなかった様相を明らかにして、置かれた状況を理解できるようにする能力で、それまで存在に気づかなかった問題を突き止める能力だ。優れたビジネスパーソンは問題解決に長けた人だと、長年にわたりいわれてきた。~~しかし、特定の人だけではなく誰もが情報を豊富に入手できる現代社会では、その能力の重要性は以前よりも低い。要するに、自分の問題を正確に把握していればたいていは誰の助けも借りずに、自力で必要な情報を探して決断を下せるものだ。一方で、本当の問題を取り違えているとき、はっきり把握していなとき、あるいは皆目見当がつかないときに、他者の助けは大いに役立つ。そのようなとき、人の心を動かすために重要なのは、他人の問題を”解決”する能力よりも、問題を”発見”する能力なのである。(p.141)

 かつて、優秀なビジネスパーソンは情報を”入手”することに長けていた。現在、優秀なビジネスパーソンは情報を”監督”することに長じていなくてはならない。膨大なデータを選別し、最適かつ明確な情報を他人に提示するということだ。(p.147)

かつて、優秀なビジネスパーソンは疑問に”答える”ことに長けていた(見込み客が入手できない情報を握っていたことがその一因だ)。現在、優秀なビジネスパーソンは、”訊ねる”ことが得意でなくてはならない。可能性を明らかにし、隠れた論点をあぶり出し、思いもよらない問題を見つけ出すということだ。(p.147)

3原則の最後は明確性です。

顧客の問題を再定義したり、明確にすることで人の心は動く。

それでいうと、動画配信サービスで有名なNetflixが誕生した理由も通じる部分があるように思えます。

ネットフリックスがなぜ誕生したのかというと、創業者のリード・ヘイスティングが従来のレンタルビデオのシステムに不満を抱いていたからと聞いたことがあります。

レンタルビデオでは、借りたビデオを返し忘れると延滞料金がかかったり、わざわざショップに出向かなければいけなったりとユーザーにとって不便な部分が残りますが、それを定額制見放題という形にすればそれらの問題はすべて解決する。

そこに目を付けたことからネットフリックスが誕生したというわけですね。

これも明確性が重要だということを証明した話でしょう。従来のサービスに対する問題を発見し、新しい方法で解決する。

いかに問題を発見する力が大切かがよく分かります。

まとめ

というわけで、同調(Attunement)、浮揚力(Buouyancy)、明確性(Clarity)の3つが「人を動かす新たな3原則」ということになります。

僕は実際に書籍を読んで、これからを見据えた上での3原則だなということがよく分かりましたし、納得でした。

これからの現代社会で生き抜くための知識が欲しいという方は、一読するだけでも得るものはたくさんあると思います。おすすめですよ。

以上。

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