日本人も大好きな超有名コーヒーショップ「スターバックス」
今でこそ町のそこかしこで散見できるようになりましたが、スターバックスはなぜここまで繁盛するようになったのか?
気になる人も多いのではないでしょうか。
実はその秘密はこの本にあらかた書かれています。いや、あらかたというより赤裸々に書かれているといった方がいい。包み隠さず全部書かれています。
スターバックス成功物語
ハワード シュルツ,ドリー・ジョーンズ ヤング 日経BP社 1998-04-23
著者はスターバックスを全世界に広めた仕掛け人であるハワード・シュルツって方。この人はホントやり手の方で、元々シアトルにあった本店を含むスタバ5店舗を15年くらいで1500店舗にまで増やした敏腕経営者です。
そんな雲の上にいるような人が書いた自伝的著書ということで、読んだだけでこっちまで頭が良くなったような錯覚に陥るw
また参考に出来るというか、ここ大切だなと感じる箇所も多々あったので、今回は要点だけ抽出してここにまとめときます。
成功の立役者ハワード・シュルツってどんな人なの?
なんて呼ぼうか?
シュルツさんでいいか。
シュルツさんの経歴を簡単にまとめると、
貧乏な家庭に生まれる→大学に入学する→バイトで学費や生活費を稼ぐ→ニューヨークの企業に就職→営業、マーケティング、プレゼンテーションを学ぶ→色々あって営業本部長になる(28歳)→シアトルにあったスターバックスに出会い惚れる→会社を辞めスターバックスに就職→紆余曲折を経て最高責任者に。
といった感じです。本書ではもっと詳細に書かれてます。
で、著者の人生の転機となったのは、営業本部長という肩書を捨てて当時は全く日の光が当たっていなかったスターバックスに就職しちゃったところ。
この時点である種小売店の歴史を変えたといっても過言じゃないし、著者の人生も大きく動き出します。
ではなぜシュルツさんは安定を捨てて挑戦をしようと決断したのか。
その決め手について本書ではこう書かれています。スタバのコーヒーを初めて飲んだシーン。
私は未知の世界を発見したような衝撃を受けた。これに比べると、今まで飲んでいたコーヒーは本物とはいえない。
私が求めていたのはこれだと確信していた。こうして私はスターバックスに出合ったのである。そして、スターバックスも私も大きく変わった
前後の流れを端折っているので分かりづらいかもしれませんが、つまり、シュルツさんはコーヒーを飲んだ瞬間、スターバックスに惚れ込み、これならビジネスとして成功すると確信したわけです。その結果転職せずにはいられなかった。
本書では、著者のスターバックスに対する想いがひしひしと伝わってきて非常に熱いものを感じます。
というかこの本をなぜ著者が執筆したかと考察するに、純粋にスターバックスの良さを知ってくれっていう想いのみで書かれたとしか思えない。それほど全編にわたってスタバ愛を吐露している。
本気でスタバを愛しているのだと思います。
成功する人間の性格
経営者を目指していようがいるまいが、著者の性格を紐解けば僕らにも何か見習える部分って多分あると思ったので、文中の言葉を頼りに個人的に著者の性格を分析してみます。
成長志向
世の中には、上に上に!という感じで、現状に留まらず常に成長し続けていくいわゆる成長志向を持った人だったり、ストレングスファインダーでいうところの最上志向を持った人達が一定数いると思うんですけど、著者ほど上を見続ける人っていうのはかなり数が限られると思います。
今でこそスターバックスは全国展開をして上場企業の仲間入りを果たし、一流企業にまで成長しましたが、著者から言わせればそんなのはまだまだみたいです。
それを象徴する言葉を紹介。
今が絶好のチャンスなのだ。このチャンスをつかまずに、現状に甘えてリスクを避け、いたずらに時を過ごしていたら、チャンスは二度と戻ってこないだろう。
本書では他にも成長志向が如実に表れる場面だったり発言が見られて、やはりとんでもない結果を出す人はとんでもなく上を見ているんだなと実感しました。
経営者だけではなく、何かを成し遂げる人間は成長を求める度合いが強い。
夢想家
夢想をビジョンと言い換えてもいいですが、著者はビジョンを他者に伝えて共有するのが上手いなと感じます。
それは本に記されている言葉からも何となく分かりますし、彼の言動やビジョンに他者が協力的になっていく様を見ても分かる。
確かに夢を見ないと何かを成し遂げることなんて出来ませんからね。現実的に考えすぎる人間は見習う必要があるかもしれません。
それでいうと、ついつい現実思考をしてしまう僕なんかは刺激になった部分でしたね。
失敗から学ぶ姿勢
事業を続けていれば良いことも悪いこともある。そんな中でシュルツさんはその経験から学べることを学び、吸収できることは何でも吸収するスタンスを崩しません。
人に頼れる
著者は自分の能力を見極めることに長けています。自分の苦手な部分からは決して目を背けず、フォローが必要なときは人に頼って、得意な分野で存分に力を発揮しようとします。
人を信用し、自分を信用しているからできることなのでしょう。
成功する人間の性格と限定して分析をしてみましたが、いかにも成功者といった感じがします。とりあえずスターバックスを成功へと導いた立役者の人物像はこのような感じでした。
スターバックスの経営戦略
スタバの経営戦略を大きく分類すると、素人目にはこの2点に集約されるのではないかと思います。
・従業員満足度を高める
・コーヒーの質を落とさず、独自の路線を行く
この2点。1つずつ説明。
1、従業員満足度を高める
スタバが他の企業と全く違う点は、従業員の満足度を高めるためにあらゆる措置を取っている点にあります。
その中でもとりわけ画期的なのは、アルバイトを含む全社員(ついでに言うと社員の家族にまで)に健康保険制度を適用していることと、ビーンストック(この言葉自体は造語)というストックオプション制度を導入していること。
まずスタバは従業員の満足度を上げるために健康保険を適応している。その結果として離職率は、他の小売店やファーストフード店が年間140%~400%なのに対し、スタバは60%から65%になったらしいです。店長の離職率は25%と他より半分程度。
まぁ健康保険の適応に関しては他にも探せばありそうと言えばありそうなんですが、一方のビーンストックはちょっと凄い制度だと思います。
そもそもビーンストックとは何かっていうと、会社の株を全社員が売買できる仕組みのことです(超簡単にいうと。大まかな仕組みはこれであっていると思うんだけど、詳細は管理人も存じない)。
ちなみに、ビーンは「ジャックの豆の木」のように成長し続けることを願っているのとコーヒーの豆をかけてそう名づけられたそう。
で、全社員が自社の株を所有できれば何が起こるかというと、従業員のやる気が上がります。会社が成長していけば持ち株の価値が上がるので、社員が頑張って成果を出すほど持ち株の価格は上がる。それが働く人たちのインセンティブになると。理屈ではこういうことです。
そして、そんなビーンストックを導入したのも健康保険を適用したのも最終的には従業員の満足度を上げるためです。
従業員の満足度を上げれば、それが間接的に顧客の満足度を上げることになるし、離職率をさげて採用コストなどの経費を削減できるわけですね。
このwin-winの関係はすごくいいなと僕は感じました。ただ満足度を上げるのではなく双方が得しているという点で。
ちなみに、スタバ社員に実施された従業員満足度に関する調査の結果はこんな感じ。
・仕事に満足していると答えた人の割合:88%
・会社は社員に気を配っていると感じている人の割合:85%
・スターバックスで働くことに誇りを感じている人の割合:89%
他意はないんですけど、日本で実施したらこれくらいの数字を取れる企業って何社くらいあるんでしょうね。他意はなく純粋な疑問と視点としてねw
まぁそれはいいとして、とりあえずスタバの経営戦略の一つは従業員の満足度を上げていくという働き手本位の戦略なのです。
やり手経営者の一言
社員のひたむきさと献身さこそ、スターバックスが競争優位に立っている最大の要因だ。それが失われれば、われわれは競争に敗れることになる。
2、コーヒーの質を落とさず、独自の路線を突き進む
客単価が低いスターバックスのもう一つの経営戦略は、コーヒーの味を高品質に保ち、顧客に何度も店舗に通ってもらうことです。
また、本当に美味しいコーヒーと口コミで広がれば、宣伝費を使わなくて済むというメリットもあるそうです。
そのためにコーヒーの質を上げておくということ。
あと、品質管理だけではなく店内の内装や音楽、雰囲気作りから商品のデザインまでこだわりを持ってブランド作りを行っているそうです。
以上の2点でスターバックスは他の小売業やファストフード店と差別化を図っていると言えるでしょう。
スタバが人気の理由が何となくでも分かっていただけたのではないでしょうか。
まとめ
いつの間にか日本各地にスタバが展開していて、僕らはそれを当たり前のように利用しているのですけど、その裏には経営戦略なり作り手の想いなり10数年の歳月なりがあって、しかるべくしてそうなっているということなのだと思いました。
人気コーヒー店は一日にして築き上げられたわけではない。
そのことがよく分かる良書です。
以上。
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